不動産業界はIT化の最も遅れた業界と言われて、数多くの課題を抱えています。
AIの導入やデジタル化に取り残されまいと、注目されているのが・・
“不動産×テクノロジー”の『不動産テック』という分野です。
海外や新興ベンチャー企業を中心に新しい取り組みが活性化され、投資の勢いも増しています。
本日は『不動産テック』について注目していきましょう。
海外の動向‥
不動産テック企業に対するベンチャー投資額の割合のうち、米国が約半数を占め、大きく先行しています。現在1000以上のサービスがあり、米国企業であるCBREやJones Lang LaSalle(JLL)を中心に、投資や協業に動いています。
国内の動向‥
海外より遅れをとっている日本ですが、三菱地所、三井不動産、ソフトバンクがスタートアップ投資で先行しています。3社が主にどのような取り組みを行っているのか、ご説明いたします!
(1)三菱地所
出典:三菱地所
- スタートアップ・VC投資の累計100億円を突破
- クラウドリアルティ、ナーブ、Gorilla Spaceといった、新事業創造部を中心に着々と投資実績を積み重ねている
主な投資先
企業名 | 事業内容 |
クラウドリアルティ | 不動産に特化したクラウドファンディング |
gooddaysホールディングス | リノベーション施行、仲介。賃貸物件サイト「goodroom」を運営 |
Gorilla Space | シンガポールで小規模オフィスのマッチングサイトを提供 |
スペイシー | 会議室シェアリングプラットフォーム「スペイシー」の運営 |
ナーブ | VR(仮想現実)コンテンツのプラットフォームを提供 |
ライナフ | 「スマート物確」「スマート内覧」やスマートロックを開発 |
RealTech Holdings | 米ニューヨークで不動産仲介サービス「Triplemint」を運営 |
Marunouchi UrbanTech Voyager ~マルノウチ アーバンテック ボイジャー~
丸の内地区を新技術の実験場とする一連のプロジェクト
‥異業種や大学研究室と組み、自動運転の実証実験などを進めている
(2)三井不動産
出典:三井不動産
- 300億円規模のスタートアップ投資ファンドの運営を開始(プログラム名:31VENTURES)
- ビジネスイノベーション推進グループの設置
- スタートアップから取り入れた知見の活用や展開を図る
主な投資先
企業名 | 事業内容 |
CrediFi | 米国で事業用不動産向けのローンのデータベースを運営 |
クリューシステムズ | AI、ディープラーニングを使った映像監視システム |
SiteAware | イスラエル企業。建設現場をドローンで撮影し3D化 |
GeoSpock | 英国でビッグデータ処理サービス。スマートシティにも |
Peerspace | 米国のスペースシェアリングサイトを運営する |
MetaPropNYC | ニューヨークのスタートアップアクセラレーター |
リビングスタイル | インテリアのシミュレーションサイト「RoomCo」運営 |
31VENTURES ~サンイチ ベンチャーズ~
VCのグローバルブレインと共同で展開する投資プログラム
‥グロースステージと呼ばれる収益モデルの確立したスタートアップを対象としている
(3)ソフトバンクグループ
出典:ソフトバンク
- 不動産テック関連の投資額は累計約150億ドル(WeWorkへの投資が中心)
- ビジョンファンドには、アップルやクアルコムなどの投資家が顔を揃える
主な投資先
企業名 | 事業内容 |
WeWork | シェアオフィス事業を展開 |
OYO | 敷金・礼金・仲手不要のlotを活用したホテルチェーン |
Katerra | ITを活用することで効率化している建設会社 |
Opendoor | ITを活用した、住宅の買い取りと転売がメイン |
◆その他企業の動向‥
Open Network Lab Resi-Tech ~オープン ネットワーク ラボ レジテック~
不動産特化型のスタートアップ投資・育成プログラム
‥運営を手がけるのは、上場IT企業のデジタルガレージ。今後は海外のスタートアップも対象にし、日本市場への参入を手助けする計画。昨年にはコスモスイニシア、東京建物、野村不動産、三井不動産といったデベロッパーと鉄道会社やゼネコンが参加した。
ベンチャー企業との協業プログラム
データや実験場所をスタートアップに提供する
‥サンフロンティア不動産と空き店舗仲介ベンチャーのよじげんが共同で、協業の相手を募集する。
上記のように、国内外ともに様々な取り組みが行われている不動産業界は、今後大きく変わっていくでしょう。特に最近のソフトバンクグループの不動産への活発な投資は注目です。イノベーションが遅れている不動産業界が今後どう変わっていくか?新たなテクノロジーが活用されることにより、サービスが続々と実用化され、生産性向上や効率化が見込めます。さらに活性化されていく“不動産テック”から目が離せません。